小さいサイズで移動しやすい新しいモビリティとして、電動キックボードに興味を持たれている方もいるでしょう。しかし電動キックボードは自転車ではないため、公道走行時はヘルメットを装着する必要があります。
めんどうくさいな、と思う方もいるでしょう。しかし安全対策としてもヘルメットは必要不可欠です。
電動キックボードにおけるノーヘル運転の罰則

時速15キロまでしか出せない代わりにヘルメットが無くても乗れるシェア電動キックボードの実証実験が進んでいますが、市販タイプの公道走行できる電動キックボードはすべて、ヘルメットをかぶらなくてはなりません。
原付スクーターや原付バイクと同じ扱いになるため、ノーヘル運転は「乗車用ヘルメット着用義務違反」という交通違反を犯したこととなります。
乗車用ヘルメット着用義務違反 違反点数:1点 反則金:なし
数ある乗り物のなかでも安全性が低い
軽自動車のバンや軽トラ、1BOXなどのクルマは危険という説があります。前面にエンジンルームなどのクラッシャブルゾーンがないため、そボンネットをもつ他のクルマと比べて衝突安全性が低いというのです(トヨタ・ハイエースのように、目立たないようにボンネットをとりいれた1.5BOXタイプの車両もあります)。
電動キックボードも似たようなところがあります。自転車やバイクは衝突安全性の低い乗り物ですが、電動キックボードはさらにホイールサイズが小さく、タイヤというクッションが一切期待できません。
元バイク雑誌テストライダーが、電動キックボードの限界性能を試してみた(flick!)
サスペンションがないから、どこかが接地するとあっという間にタイヤが浮いて(大きなバイクだと、どこかが接地しても、サスが伸びてタイヤが路面をホールドし続ける)しまう。みなさんも、電動キックボードに乗る時は、限界のバンク角はチャレンジしないように気をつけよう。
flick!
WEBメディア・flick!の編集長タクタ氏が、公道仕様のBoosted Revに試乗したとき、限界の走行性能を確かめようとしたところタイヤが浮いてしまい、単独事故を起こしてしまったとのこと。他のクルマに衝突した、衝突されたというケースの他にも事故を起こすかもしれない乗り物なのだと理解しておきたいものです。そして自分の身を守るためにも、ヘルメットをかぶるものだと心がけましょう。
PSCマークの入ったヘルメットを選ぶこと

電動キックボードに乗る際に使うヘルメットですが、どんなヘルメットでもいいというわけではありません。バイク用のヘルメットを選ぶ必要があります。
道路交通法上、以下の基準を満たしたものがバイクの乗車用ヘルメットとなります。
- 左右、上下の視野が十分とれること。
- 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
- 著しく聴力を損ねない構造であること。
- 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
- 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
- 重量が2kg以下であること。
- 体を傷つけるおそれがある構造でないこと
日本国内で販売されているヘルメットで、この基準を満たしている製品には「PSCマーク」のシールが貼られています。電動キックボード用のヘルメットを購入する際は、PSCマークがついた製品から選びましょう。
ゆえに! 自転車用ヘルメットや工事用ヘルメット、防災ヘルメットにスキー/スノボ用ヘルメットをかぶって乗らないようにしましょうね!
ヘルメットのタイプを知る・半キャップ/半帽ヘルメット

原付スクーターに乗っていて、このタイプのヘルメットを使っている方も多いでしょう。頭部の上半分を保護できる形状のヘルメットで、半キャップ・半帽・ハーフヘルメットと呼びます。

ちょっと大きな帽子のように見えるので、あたまでっかちには見えない。持ち歩くときも嵩張りにくい。超軽量だし開放感が高くて気持ちいいといったメリットがあることから、半キャップのヘルメットで電動キックボードに乗りたいと思うかもしれません。

しかしご覧のように、顔・側面・後頭部のガード力はゼロです。コケてしまったときのダメージは大きいです。半キャップでもPSCマーク入りの製品はありますが、いずれにしてもはっきり言ってオススメできません。
ヘルメットのタイプを知る・ジェットヘルメット

頭部全体を覆う帽体を持つヘルメットをジェットヘルメット・ジェットヘルと呼びます。透明なシールドがつく製品と、つかない製品があります。

首元までガードしてくれるので、安全性は高め。視界が広く、比較的軽量で、メガネをかけたまま装着できるというメリットもあります。またシールド付きタイプはあごのあたりまでガードしてくれます。

顎の下側のガード力はありません。何かに衝突してしまい、勢いよく身体ごと投げ出されて顎から先に地面につくような事故となると、怪我する可能性が高くなります。最高速度が30キロ前後の電動キックボードでもこういった事故はあるので、注意が必要です。
ヘルメットのタイプを知る・フルフェイスヘルメット

頭部全体を覆う帽体かつ、あごの先まで硬質なフレームが伸びており、頭と顔をカバーしてくれるヘルメットがフルフェイスヘルメットです。卵型のようなオンロード用フルフェイスヘルメット、鼻先が伸びているようなオフロード用フルフェイスヘルメットがあります。

メリットはなんといっても安全性の高さ。事故の時だけではなく、走行中に他の車が跳ね上げて飛んできた飛び石からも頭と顔をガードしてくれます。また静粛性が高く、風切り音が聞こえにくいところもいいところ。

デメリットは重いこと。またメガネは外してからヘルメットを装着し、シールドを上げてからメガネをつけなおす必要があります。ヘルメットを脱ぐときもやや面倒です。
安全性重視でジェットヘル、フルフェイスを選びたい

ここまで3タイプのヘルメットを紹介してきました。不安定な乗り物であるバイクよりもさらに不安点な電動キックボードゆえに、法律上は問題なくとも半キャップヘルメットはオススメしにくいところがあります。あえて言うなら、低速で走ることになる路地を中心として移動する方なら選んでもいい…のかな。
ジェットヘルメット、それもシールドつきのモデルであればオススメできます。僕自身、電動キックボードに乗るときはだいたいジェットヘルメットを使っています。フルフェイスヘルメットはもっとオススメ。幹線道路を走ることが多い方には、フルフェイスヘルメットをもっとも強く推したいですね。
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